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竣工写真における構図

  • 執筆者の写真: MOKICHI PHOTO OFFICE
    MOKICHI PHOTO OFFICE
  • 2024年9月15日
  • 読了時間: 3分

竣工写真は、住宅が完成した際、その完成度を記録し、伝える為の重要な資料です。単に建物の外観や室内を撮影するだけでなく、その設計の意図や魅力を最大限に引き出すために専門の技術とセンスが求められます。


まず、竣工写真を撮影する際の基本的な目的は、建物の完成度やデザイン、機能性を正確かつ美しく伝えることです。そのため、まず撮影する建物や部屋の全体像を把握し、最適な撮影位置と角度・高さを決定することが重要です。全体像を捉えるために、広角レンズを使用し一枚でベストの画角を探すことは大切ですが、建物を構成する要素を捉えて組写真として考えることも重要です。


構図には推奨されている型があり、「三分割法」や「対角線構図」など知識として理解しておくことで現場での撮影のスピードが上がり、歩留まりが高くなるということもあります。三分割法は、写真の縦横を3等分し、その交点やラインに被写体の重要な要素を配置することで、バランスの良い写真を作り出す手法です。これにより、視覚的な安定感が生まれ、建物のデザインや空間の広がりがより引き立ちます。一方、対角線構図は、視線を自然に写真全体に導く効果があり、特にダイナミックな印象を与えることができます。


また、写真を撮る時間も重要です。光の使い方も構図に大きく影響します。自然光や人工光を効果的に取り入れることで、建物の質感や色彩をより鮮明に表現できます。例えば、朝夕の斜光は陰影を強調し、建物の立体感を際立たせるのに最適です。逆に、日中の直射日光では、硬い影が生じることがあるため、撮影意図によっては光の柔らかさを意識すること必要があるかもしれません。


外観撮影時は、背景や周囲の環境も無視できません。建物そのものだけでなく、その周辺環境との調和を考慮することが、竣工写真のクオリティを大きく左右します。背景がごちゃごちゃしていたり、不必要な要素が写り込んでいたりすると、建物の魅力が半減してしまうことがあります。周囲の景観や空の様子など、全体のバランスを見ながら取捨選択して構図を決定することが大切です。


建物を構成する要素として、細部にフォーカスを当てることも効果的です。全体像を捉えるだけでなく、特にこだわりのあるデザインや素材、装飾などをクローズアップすることで、建物の特徴をより具体的に伝えることができます。これにより、設計の意図を視覚的に表現しやすくなります。


また、カメラの高さや角度も重要な要素です。通常、人間の視点から撮影することが多いですが、建物・空間の特徴に応じて、ローアングルや高い位置からの撮影をすることで、伝えたいことを強調できることもあります。


竣工写真は、単なる記録写真以上の意味を持ちます。住宅の美しさや機能性、設計意図を視覚としてダイレクトに伝えることができます。


構図や光、専門的な機材を用いながら建物の持つ魅力を最大限に引き出し、見る人の心に強い印象を残せることができると思います。

 
 
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